適応障害で退職する事は、逃げだと言われる事があります。しかしこの考え方は必ずしも正しくありません。適応障害は自分が置かれている環境に対処する上での心身の不調が原因であり、退職がその問題を解決する1つの手段になりえます。
そもそも「適応障害で退職は逃げ」と言う人はもし症状が悪化し、あなたが働けなくなった時、責任を取ってくれるのでしょうか?それはない筈で、どちらかと言えば自己責任と言って責任逃れをしてくるでしょう。
自分の身は自分の責任である以上、最終的にはあなた自身の判断で選んで決断すべきです。その為、私の知っている上司から「適応障害で退職したら逃げだからね」と言われ、それをどのように言い返し、かつ退職後、無事、今より良い企業に再就職すれば良いのか?そのノウハウを紹介したいと思います。
適応障害での退職を「逃げ」と言って有利になろうとする上司の本音
まず「適応障害での退職する事を逃げと言ってくる上司がいた場合、それはあなたの事を考えず、自分が有利になろうとしている場合があります。
例えば退職理由が労働環境にあると会社に知られた場合、上司は自分の管理不足や再発防止として研修を受けたり、また再度同じ理由で退職者が出た場合、役職を解かれるリスクが出てきます。
日本の法律では適応障害を抱えている労働者がいる場合、会社はその人が働けるよう配慮しなければなりません。仮にそれを怠った場合、その上司の場合、パワーハラスメントに該当する為、パワーハラスメント研修を受けたり、また再発防止の聞き取りを行う事になるでしょう。
そしてそれが繰り返されれば役職を解く、または異動などの処罰を受ける事になるので、責任逃れの為、「適応障害で退職は逃げ」と言って引き止めているのでしょう。
「適応障害で退職は逃げ」と言って有利になる上司の例
またあなた自身になぜ「適応障害で退職は逃げ」と言われたかは分かりかねますが、もし仮に精神科医の先生から休むよう警告が出ていたのに上司の言葉を鵜呑みにして仕事を続けて悪化してしまった場合、裁判で負けてしまう可能性があります。
適応障害を持っている人が最終的に症状が悪化して会社や上司を訴えた場合、敗訴してしまう原因として以下のようなモノがあります。
- 医師の診断と勧告の無視
- 職場に知らせない
- 因果関係の立証困難
その為、上記の「逃げ」に従ってしまい、先生の診断結果を無視して働く、会社からの定期面談の際、「異常なし」と答える、認められる為にもっと頑張る、などしてしまうと労働者側の落ち度になってしまいます。
「適応障害で退職は逃げ」と捉え、仮に症状が悪化しなくても報われない例
ちなみに興味深い話として仮に適応障害を持ちつつも、順調に仕事をこなしたら報われるのか?と言われるとそんな簡単な話ではないと見ています。
その例として仮にあなた自身、症状が悪化せず上司になれたとしても、仮に部下に適応障害の人が配属されたらどうなるでしょうか?
今まで「適応障害は甘え、逃げ」などと言われた身からすると、それ以外の方法で適応障害を抱えた部下をサポートする方法が思いつかないのではないでしょうか?
実際、同じ局面を迎えた人を見てみると適切なサポートをしないといけないと分かっていても、それが思いつかず、実績がない、また自分は今まで耐えて頑張ってきたのに、違うやり方を求められると今までの自分の人生は何なんだ?と考えるようになり、どうしても素直に別の方法で解決しようとする意欲が湧きません。
結果、自分が上司になった場合、同じように「甘えや逃げ」という言葉で安易に済まし、そしてあなた自身が労働基準法や労働契約法により処罰を受けるリスクが出てきます。
これは多くの部下を持った事がある管理職経験者からすると分かるかもしれませんが、部下の中には適応障害だけでなく、ADHD、ASD、または癌や介護、妊婦など様々な理由で上手く働けない人が大勢います。
なのに適切な対応を知らず、「甘え」や「逃げ」などで安易に済ませば当然部下との良い関係を築けず、本当に困った事が起こった際、助けてくれなくなるでしょう。
その為、仮に退職を「逃げ」と考えて辞めたくないと思っていても、「逃げ」以外の解決策を心得ていなければいずれ自分の首を絞める事になると考えるべきで、別の会社で知見を広げる選択肢を選ぶべきでしょう。
「適応障害で辞めるのは逃げ」と退職阻止してくる上司への対策
ちなみに上記の話を聞いて、退職を決意しても、上司が退職を阻止してくる事があります。
「適応障害で辞めるなんてそれ甘えだから」とか「辞めてこの後どうするの?そんな適応障害を採用してくる企業なんていないよ?」など退職する事で周囲の人の負担が増える、適応障害者を採用してくれる企業なんていない、など不安を煽り、退職の意志を迷わせてくると思います。
その為、ここで出来る事は以下の3点だと言えます。
1,診断書を見せる
適応障害である以上、不安に駆られ正しく仕事が理解出来ない、また適応障害が悪化し、この職場だけでなく、今後の生活においても大きな悪影響をもたらすかもしれません。
その為、「休むよう」と専門家の意見があればいくら理解の無い上司でも無視出来ず、なのに出社するよう促してきたのであれば、上司の問題になり、こちらにとって有利になります。
2,「録音している」と言う
「他の人達の負担が増える事に引け目は感じないのか?」「退職して再就職する保証なんてないだろ?」と言って、診断書を見せても意味がないと主張してくるかもしれません。
ただそんな事を言って休む許可、辞める許可を出さない場合、それは労働法に引っかかる発言なので録音しているとこちらが有利になります。
その為、トラブルを避けたいのであれば、適応障害に対して差別的な発言をしている、または配慮に欠けた発言をしていた時、「録音している」旨を話すと上司は発言を控えるようになります。
録音は盗聴なのでは?と感じるかもしれませんが、盗聴と証明するには一度その内容を聞かないといけない為、その内容がハラスメントに該当していれば適法となり、盗聴ではなくなり、逆に上司を訴える武器になります。
適応障害で退職して逃げて良い企業に就職するにはどうしたら良い?
ただ上司の言い分には退職後、ちゃんと良い就職先を見つける事が出来るのか?と言われ、それに答えられず退職する事に迷いが生じる人もいると思います。
本当は辞めたい。しかし辞めたら再就職出来ずそれが原因で適応障害が再発するのでは?と感じてしまい、中々一歩踏み出すのが難しいかもしれません。
その為、自分の退職が正しいと自信を持つ為にも自分の適応障害に配慮した企業はどんな企業で、どのように見つければ良いのか?再就職の成功確率を上げるやり方を紹介したいと思います。
1,自分が適応障害になってしまった原因を模索
これは転職でも役立つ事なのですが、面接では高い確率で「なぜ退職したのか教えて下さい」と退職理由について聞かれます。
適応障害になってしまった以上、その原因が現在の職場にあります。ただそれが上司のパワハラによるモノ、また人手不足などが原因で一人当たりの作業量が多いせいでなってしまったのかで、志望先に求める配慮が異なってきます。
転職活動では「適応障害が発症しないようにするにはどうするべきか?」と障がいによる弊害をなくしていく取り組みが必要です。
事実、適応障害なのに転職で成功する人はパワハラや人手不足など職場を変える事で解決出来そうな退職理由を述べています。
だからもし再就職の成功確率を上げたい、そして今の職場を辞めた方が良い気持ちを上げる上でも面接官も納得しそうな退職した方が良い理由を明確にした方が良いでしょう。
2,新しい職場で求める配慮を明確化
また面接で聞かれる別の質問として「適応障害にならない為にどのような配慮を求めているのか?」に配慮してほしい事についても話せる必要があります。
人によっては上司から離れられるだけで症状が回復していく人もいるかもしれませんが、どちらかと言えば上司にどんな事をされたから適応障害になってしまったと言えた方が良いかもしれません。
事実、ただ「ありません」と言っても忍びないので、例えば「適応障害と診断された際、休む、早退出来なかった」と言うと休みやすい職場が求める配慮になる為、転職したい理由として明確になります。
また「適応障害で休むのは逃げ」などと言ってくる上司もいる為、そんな人の下で働きたくない意欲をわかせる上でもどんな職場環境であれば適応障害が発症しないのか?より明確にした方が良いでしょう。
口コミサイトを活用
「なぜ弊社を志望したのですか?」と聞かれた場合、当然、配慮のある企業とアピールしたいのですが、そんな働いた事もない企業で配慮のある企業だとアピールするのは至難の業でしょう。
しかし実際に働いた事のある人達が書いた転職の口コミサイトを利用すると、実際にどんな働き方が求められているか分かります。例えば口コミサイトに書かれている例として
「職場の評価制度は公正ではなく、上司に好かれているかどうかで給料や昇進が決まります。私自身、業績が高くても正当に評価されない事が続き、病気になってしまいました。上司に相談しても改善される見込みがなく、結果、退職を決意しました」
「職場では長時間労働が常態化しており、個々の負担が非常に重い状態が続いています。この過剰な作業量とストレスが原因で適応障害を発症し、健康を著しく損ないました。上司に状況を伝えても、負担軽減やメンタルサポートの対策が全く講じられず、改善の見込みがないため退職を決意しました」
「重要な情報が上層部によって閉じられ、必要な情報にアクセス出来ない事が頻繁にありました。上司は売上数字のみを重視し、部下のサポートやメンタルヘルスへの配慮が全くありませんでした。この不透明な環境と公平性の欠如が適応障害を引き起こし、サポートが期待できないため退職を決めました」
など人手不足で一人当たりの仕事量が多い、評価制度が曖昧で上司にゴマすりしている人が出世するなど、適応障害が発症しそうな職場なのか判断出来ます。
その為、なぜ弊社を?と質問された場合、御社の口コミサイトを見て、評判が良かったので志望しましたなどと言えれば、志望する理由として効果が出てくるので、良い企業を見つける為にも会社内部の情報が満載の口コミサイトを利用する事をオススメ致します。
退職者の口コミが見れる
【転職会議】
「適応障害で退職は逃げ」と言ってくる上司への対策【まとめ】
以上のように「適応障害で退職は逃げ」と上司から言われている場合、そんな上司を喜ばせる為にこの仕事に残って良いのか?またこの職場に残る事で、適応障害が更に深刻になってしまうのか?または今後部下が出来た場合、今の上司のように「逃げ」としか言えない人になってしまうのでは?など、適応障害に対する対応を間違えると自分の首を将来占める事になってしまいます。
それ故に、適応障害に対し正しい対応が出来る人になるよう、正しい職場、そして正しい対応について、正しく心得る必要があり、今の職場以外で成果を出した方が効果的だと言わざるを得ません。
それ故に、その手の転職先を見つけるのは大変かもしれませんが、適応障害になってしまう職場環境、そして適応障害の人にどのように対応すれば良いのか?そしてそんな事を配慮してくれる企業を見つける方法などを心得ていけば、良い結果は得られやすくなります。
職場を変える事が「逃げ」ではなく、「自己保護」と「新たなスタート」である事を忘れずに、自分にとって最適な環境を見つけ出しましょう。