美容師としてのキャリアを適応障害の為に一度は終え、それから再就職を考える際、どのようなアプローチが最善なのか迷う事でしょう。
私自身、適応障害によりサロンを退職した経験があります。退職後、再就職活動を始めましたが、失業保険の申請、治療、そして退職という事実へのショックなど、様々な問題に直面し、適応障害が深刻化しました。
しかし最終的には再就職を果たし、適応障害も緩和されました。適応障害を抱えながらの再就職は困難が伴うもので、間違った対応をとれば取り返しのつかない事態を引き起こす可能性があります。
だからこそ、私の経験がこれから再就職を考える方の参考になると考え、この記事で私の体験談と、美容師として再就職を成功させる為のアプローチを共有したいと思います。
適応障害で退職した美容師が再就職に成功する為のアプローチ
美容師として働く中で適応障害を引き起こし、退職せざるを得なかった場合、再就職には心得とアプローチが必要となる三つの要素が挙げられます。
1. 適応障害による退職経緯を如何に面接官に伝えるか
2. 就職後の適応障害の発症リスクをどう減らすか
3. 適応障害を自身の強みに変える表現方法
再就職の面接では適応障害による退職経緯や現在の状況をどのように説明し、自分が有能な美容師である事をどうアピールすべきかについての適切な言葉が即座に見つからずに困惑する場面もあります。
適応障害を抱えながら再就職に成功する為には「退職の理由の説明」「再発防止の策」「適応障害を持つ美容師としての活躍の可能性」を明確にし、しっかりと準備する事が極めて重要となります。
適応障害で退職した美容師が再就職に成功する為のアピール方法
面接で適応障害による退職経験を隠す事なく語る場合、印象を悪くせずに理由を説明する事が求められます。
適応障害となった原因が、自身の仕事ぶりではなく、美容師特有の労働環境にあったと明確に語る事で自身の責任ではない事を示します。
例えば美容業界では過度なサービス残業、休日出勤、連休の取得が難しいなど、労働環境が厳しい事があります。私の場合、サロンの経営方針で、安価な料金設定と高いサービスレベルが求められていました。
その結果、お客様へのサービスを維持する為に、自身の体調を犠牲にせざるを得ない状況が続きました。私が担当したのは、ヘアカラーリングの専門家として、多くの顧客の要望に応える役割でした。
しかし原料の調整や混合、適応、洗浄、仕上げという一連の作業は、細心の注意を要するもので、長時間の集中力と体力を必要とします。それに加えて、顧客とのコミュニケーション、アフターケアの説明、次回予約の誘導など、一人の顧客を担当するだけでも多大なエネルギーが必要でした。
これらの過酷な状況が続き、心身ともに限界を超えてしまい、適応障害と診断され、退職を余儀なくされました。
このような経験を通して「新しい職場では美容師の労働環境や休息時間に配慮した経営方針を持つサロンを選びたいと考えています」と、退職理由と志望動機を語る事が可能です。
適応障害で退職した経験を正直に語りつつ、自身が持つ技術や経験をアピールし、再就職を成功に導く事は十分可能です。
美容師における適応障害退職後のアピール方法:自分が原因ではないと思わせる方法
美容師という職業は、技術、人間関係、お客様へのサービスなど多岐にわたるスキルが求められる職場です。その為、適応障害で退職した経歴を持つ人が再就職の面接で「適応障害の原因は自分ではない」とアピールするのは容易な事ではありません。
しかし以下に示すポイントを押さえる事で面接官に自身の適応力や問題解決能力をアピールし、適応障害の原因が自分自身ではないと説明する事が可能です。
1. 自分自身が適応障害に至るまでの具体的な事例を説明:
「私が適応障害を発症した原因の一つは、店長から無理なスケジュールを押し付けられ、休憩時間も確保出来ないなど、生活リズムが乱れてしまった事です。私は何度も店長に休憩時間の確保やスケジュールの再調整を提案しましたが、店長はそれを受け入れてくれませんでした。」
2. 自分が問題を解決しようとした試みを説明:
「また私はスタッフ間のコミュニケーションを改善しようと、定期的なミーティングの設置や意見交換の場を提案しました。しかしその提案も受け入れられませんでした。」
3. 自分が成長した経験を説明:
「その経験を通して、私は適応力や問題解決能力だけでなく、自分自身の健康を守る為にも、自分の意見をしっかりと伝える事が大切だと学びました。その経験を活かし、次の職場ではより良い環境作りに貢献したいと考えています。」
このように、適応障害の原因を具体的に説明し、自分が問題を解決しようとした試みを共有する事で適応障害が自分自身の能力や性格に起因するものではない事をアピールする事が可能です。また過去の痛みから学んだ事や成長した経験を伝える事で面接官に対して自身の前向きな面を見せる事が出来ます。
美容師における適応障害での退職:原因と対策
美容師としての職を適応障害の為に退職した方の中に「サロンの環境やマネージャーが原因で退職を選んだ」と面接で訴える方がいます。だが、その訴えだけでは同情されるだけで、新しい職場への採用にはつながりません。理由は明確です。
適応障害による退職の中で難しいのは、サロンに問題があったとしても、それはあなた自身に問題がないという証明にはなりません。ここで私が提案したいのは、自身の問題解決能力に問題がなく、更にサロンの状況が改善しなかった事実を述べる事で「環境を改善するより環境を変えた方が良い」という視点から、転職が適応障害を解決する手段として見られやすくなるという事です。
具体的な事例を挙げると、以下のような状況が考えられます。
- サロンのスタッフが予期せずに退職し、継続的な業務の引き継ぎがなく、スタッフの補充もなかった為、適応障害になりました。
- サロンの施術方針がスタッフ間で調整が取れず、スケジュールが遅れたり、急な変更が頻繁に起こり、適応障害になりました。
- マネージャーが新規の業務を増やし、余計なプレッシャーをかけた上、十分な説明もなく、結果、適応障害になりました。
このように、スタッフ、施術方針、マネージャーなどが原因で改善の見込みがなく、適応障害が悪化し、結果的に退職する事になった経緯を明確に説明する事で新たな職場への面接が通りやすくなるでしょう。
適応障害でも長く働ける美容師の方法を探る
美容師の仕事においても、適応障害により退職を考えざるを得ない事態が生じる事があります。その際、新たな職場で「私達に何か配慮すべき点はありますか?」と問われた時、適応障害を原因とする問題を抑える方法について語れる準備をしておく事が重要です。
インタビューでは「適応障害があると仕事が出来ないのではないか?」と疑念をもたれる事があります。そこで、適応障害があってもしっかりと仕事が出来る、という印象を与えるアピールが求められます。
例えば適応障害の発症が業務量に起因する場合、美容師の仕事ではスタッフ間での役割分担を見直す事で業務負担を軽減する方法があります。特に繁忙期や休暇時の代理など、一部のスタッフに業務が集中しがちな状況を改善する事が重要です。
またタスク管理が十分に行えていない場合、予約管理アプリやシステムを活用する事で予約の確認や顧客の管理をスムーズに行う事が可能です。
適応障害の発症原因を減らす為には、これらの原因を極力取り除く事が重要です。面接ではその為の具体的なアピールをする事で適応障害があっても長く働ける美容師である事を示す事が出来ます。
「どうしてうちのサロンが適応障害の心配がないと思ったの?」と問われた時の対策
美容師として働く上で、職場環境が適応障害を引き起こさないような状況にある事は非常に重要です。しかしすべてのサロンがそのような理想的な環境を提供しているわけではありません。その為、面接で「どうしてうちのサロンが適応障害の心配がないと思ったの?」と問われると、困ってしまうかもしれません。
適応障害を避ける為には、志望するサロンの職場環境が健全であると確信出来るようになる事が必要です。しかしそのサロンで働いた経験がない場合、どのように答えるべきかが分からないかもしれません。私の経験から言うと「口コミサイトを参考にし、貴サロンの評判が良かった為志望しました」と伝える事で乗り切る事が出来ます。
転職支援サービスには、実際にそのサロンで働いた経験のある人々の口コミが掲載されているものもあります。私自身もこのようなサービスを利用した経験がありますが、求人情報では「休みが多い」と書かれているのに対して、口コミを見ると「残業が禁止されており、仕事が終わらないほどの業務量に悩まされている」といった情報が見つかる事もあります。
このような内側からの情報は、転職した際に不適切な環境にないかを判断するのに非常に役立ちます。また志望動機として「口コミサイトの評価が良かったから」という理由を挙げる事も可能です。適応障害を抱えている自分に適したサロンで、評判が良いという事実があれば、それが志望動機として妥当となります。
したがって、口コミサイトを活用して、志望先の選定や志望動機の作成を行う事をお勧めします。
美容師として適応障害を活かす具体的な方法
美容師としての仕事は、日々適応力を必要とします。しかし適応障害を悩みとする方も少なくありません。しかし適応障害を単なるデメリットと捉えるのではなく、これを活用する方法があると言えば、驚かれるでしょう。
例えば適応障害を理由に「申し訳ありません、カウンセリングの内容を記録させていただけますか?」とお客様との会話を記録に残す事で後々の誤解を避ける事が可能となります。
美容師の仕事では「言った、言わなかった」というトラブルが起こる事もあります。特に、ヘアスタイルや色味の指定が明確でない場合、理想と現実のギャップから不満が生じる事があります。
そこで、適応障害を活用し、カウンセリングの内容を明確に記録する事でお客様とのコミュニケーションをスムーズに進める事が出来ます。
これにより、お客様の要望が明確になり、後から「こんなはずではなかった」という意見が出てきても「前回のカウンセリングでこの内容で進めていいと確認しましたが、今の要望を実現するには追加料金が発生しますがよろしいですか?」と対応する事が可能となります。
このように、適応障害を持つ自分自身を理解し、それを活用する事で仕事の質を向上させ、自身の退職を防ぐ事が可能です。適応障害は一見デメリットに見えますが、適切に活用すれば、それが新たな仕事のスキルとなり得るのです。
適応障害で退職した美容師の再就職成功への道
適応障害を理由に退職した美容師が再就職に成功する為には、以下の点に注意して進める事が有益です。
適応障害が原因で退職した事実があっても、改善の余地があったとアピールする
志望動機として、口コミサイトで評価が高い美容院を選ぶ
適応障害を逆に長所と感じさせるアピールを用意する
また適応障害で退職した以上、失業保険期間は長いほど良いと考えられます。
精神科医からの提案で退職するほど適応障害が深刻であれば、障害者手帳を申請し、失業保険の期間を一般の3カ月から10カ月に延ばすと良いと言われました。私自身、長期間精神科医に通院していた場合、障害年金も受給出来る可能性がある事も後に知りました。
適応障害が原因で退職した場合も、日本には障害者に対するさまざまなサポートがある為、退職後の期間を活用して手続きをしてみる事が有益です。
しかし障害者枠で転職活動を行う場合、障害者専用の転職サイトでは契約社員の求人が多く、正社員の求人が少ない事を確認しました。ですので、大手の美容院で正社員を障害者枠で目指すのであれば、直接企業ホームページから応募した方が良いでしょう。
美容師という職業は人間関係やコミュニケーションが重要となります。適応障害を逆手にとって、顧客との良好な関係作りや、心地よいサロン作りに活かすなど、適応障害を強みとするアピールが求められます。
以上が私自身の体験に基づく、適応障害で退職したが再就職に成功した美容師のノウハウです。このような工夫を行う事で適応障害を理由に退職した美容師でも再就職の成功確率が上がると思います。皆様の再就職の成功を心から願っています。