教育の現場で適応障害により退職した後、再び教員としての道を歩みたいと思っても、どのような対応をすれば良いのか迷う事も多いと思います。
私自身、適応障害で学校を離れざるを得なくなり、その後、再就職を目指して活動を行っていました。しかし失業保険の申請や治療、そして退職した事実への衝撃からくる心の動揺など、私の適応障害は更に深刻化しました。
しかし結果的には再び教職に就く事が出来、適応障害も徐々に改善しました。適応障害を抱えたまま再就職を目指すという道は困難も多いですし、退職後の対応を間違えてしまうと大きな後悔を生む事もあります。
それ故、私の経験がこれから教職に復帰しようと考えている方々の参考になると考えています。本記事では、私の体験談や教員として再就職を成功させる為の方法を共有したいと思います。
適応障害による退職:教員として再就職への道のり
教育の現場で働く教員たちも、精神的な問題から退職を余儀なくされる事があります。その中でも、適応障害はその引き金となる事が多いです。適応障害で退職した教員が再就職に成功する為には、以下の3つの視点が不可欠です。
- 適応障害と退職の経緯をどう面接官に伝えるか?
- 再就職後、どのように適応障害の発症リスクを低減するか?
- 適応障害を否定的なものと感じさせない表現方法
教員として再就職を目指す多くの方が、面接で退職の理由や適応障害をどう説明し、どのように自分が有能な教員であるとアピールするべきかについて悩む事があります。
適応障害を乗り越えて教育の現場で再び活躍する為には「退職の理由の説明」「障害の再発防止策」、そして「適応障害があっても教育の現場で成功出来る根拠」を明確にする事が重要となります。これらを適切に準備し、自分自身を信じて進んでいく事が大切です。
適応障害で退職した教員が再就職する為には不適応な労働環境を説明する
教員が適応障害で退職する際、その理由を説明する事は面接で非常に敏感な話題となります。その為、自身の不適応ではなく、教育現場の困難な環境が原因であると説明する事が重要です。
例えば教員として仕事をしていると、クラスの管理、カリキュラムの設計、授業の準備、学校行事の計画など、多岐にわたる業務に携わる事が求められます。私の前職では、大規模な学校改革の中で、新しい教育方針の導入とそれに伴うカリキュラムの大幅な改訂を任されました。
この教育改革計画は、教員全体の協力が必要であるにも関わらず、計画の詳細や学校のビジョンが明確に共有されず、私はほぼ一人でその負担を背負う事となりました。
新しい教育方針の理解とカリキュラム開発には相当な時間を必要とし、更に授業の準備や学生の指導、その他の日常業務と合わせると、過酷な労働時間となりました。結果として、私は過度のストレスとプレッシャーにより適応障害を発症し、最終的に退職を決意しました。
この経験を語る際「その為、次の職場では、教育のビジョンが明確に共有され、教員全体で協力し合い、バランスの取れた業務量を持つ学校への転職を希望しています」と述べる事が出来れば、退職理由と志望動機を効果的に伝える事が出来るでしょう。
適応障害で退職した原因は教育現場ではなく自分では?と面接で疑われた際の対応策
適応障害で退職した経験を持つ教員が再び教育現場に戻る為には、面接でのアピールが重要となります。しかし面接官から「適応障害で退職したのは教育環境の問題ではなく、あなた自身の対応力の問題ではないか?」と疑われる事があります。
一部の面接官は、退職の原因を学校環境に求める教員に対して、自身の適応力や対人スキル、ストレス対処能力に問題があったのではないかと疑いを持つ事があります。その理由は、適応障害で退職した教員を採用する際のリスクを考慮しての事です。
そんな状況で、自身が問題ない事をアピールするには、具体的なエピソードを用いて、自分が問題解決能力を持つ人物である事を示す事が効果的です。
例えば「生徒のいじめ問題や親御さんとのトラブルなど、教育現場で起こり得る複雑な問題に対して、私は常に解決策を模索し、対応してきました。しかし適応障害になった原因は、それらの問題解決だけでなく、教育行政の負荷や人間関係の複雑さ、過剰な業務量といった、個々の教員の力を超えた問題が原因でした」と説明する事で、退職の原因が教育現場の環境にあった事を強調し、自己の問題解決能力をアピールする事が可能です。
適応障害で退職した経験を持つ教員が再び教育現場で活躍する為には、自己の問題解決能力をアピールし、退職の原因が教育環境にあった事を証明する事が重要です。その為には、具体的なエピソードや事例を用いて、自分が適応障害を克服し、再び教育現場で活躍出来る人物である事を訴える事が求められます。
退職理由は同情ではなく、新しい環境に向かって努力したいと述べる
適応障害を引き起こし、退職を余儀なくされた教員の中には「学校環境や指導者が原因で退職せざるを得なかった」と転職先の面接で訴える人がいます。しかしこのような訴えだけでは、同情を得るだけで、採用には結びつきません。適応障害を経験した教員自身も、この苦い経験から多くを学びました。
適応障害者の再就職では、確かに学校環境に問題があったとしても、それだけでは自身に問題がないとは言えません。ここで改善策を提案する事を強く推奨します。それは、自身の問題解決能力に問題がなく、更に学校環境が原因で改善されなかった事実を明らかにすれば「環境を改善するよりも環境を変える方が良い」と、適応障害を解決する一つの手段として、転職が認識されやすくなります。
例として、教育現場のコミュニケーション不全を訴えた経験がありますが、他にも以下のような原因が考えられます。
- クラスの担任が急に変わり、引継ぎがなく、また人員補充がなされなかった為、適応障害になりました。
- 教育方針が教育委員会と学校間で意見が食い違い、授業計画が遅れたり、急なカリキュラム変更が頻繁に起こり、適応障害になりました。
- 学校長や教頭が新たな教育プロジェクトを提案し、余計な業務を増やした上、対応出来ると無理強いし、結果として適応障害になりました。
このように、クラスの担任、教育委員会、上司などが原因で改善が見込めず、適応障害が悪化し、結果的に退職するという経緯を説明出来れば、再就職の面接が通りやすくなるでしょう。
適応障害と退職を防ぐ:教員の為の具体的な対策
適応障害が原因での退職は、教員の現場でも深刻な問題となっています。特に「どのような配慮が必要なのか?」という問いに対する具体的な対策が求められています。
適応障害が原因で教職から離れるケースは少なくありませんが、この問題に対するアプローチ方法を理解していれば、適応障害のある教員も長期間教職を続ける事が可能となります。
まず、適応障害が発症する主な原因として、過大な業務量が挙げられます。これに対する解決策として、ITエンジニアが用いる自動化システムのように、アシスタント教員や部外者の協力を得て業務負担を分散させる事が有効です。
また進行管理が不十分である場合、教育現場では教材の整備や授業の進行計画を共有する事で改善する事が可能です。ここでもITエンジニアが使用するプロジェクト管理ツールのように、GoogleカレンダーやTrelloなどのツールを活用し、全体の進捗状況を共有する事で、業務の進行状況を明確にする事が重要です。
適応障害を生じさせる原因を把握し、それを極力取り除く事で、教員も適応障害による退職を防ぐ事が出来ます。このような具体的な対策を理解し、実践する事で、教員としてのキャリアを長く続ける助けとなるでしょう。
「適応障害を引き起こさない教育現場を選ぶ為の留意点」
教育機関における適応障害の発症は、組織文化や教育現場の環境に大きく左右されます。そんな中、理想の教育現場を見つけ出し、そこで働きたいと思う動機を伝える際「なぜ当校が適応障害を生じさせない教育現場だと思ったのか?」と問われる事もあります。
まぁ、これは別の学校に行く場合ではなく、塾などの民間系教育現場に転職したい場合だと思いますが、適応障害を発症する事のない環境で教える事が望ましい一方で、具体的な理由を示すのは難しいものです。しかし「口コミサイトを活用し、あなた方の学校が最も理想的だと感じたからです」と応える事で、その問いを回避する事が可能です。
口コミサイトでは、その学校で実際に教えていた教員からの評価や意見が集約されています。これらの情報は、学校の内部の状況を把握する為の貴重なリソースとなります。
例えば求人情報では「プライベート充実」や「働きやすい環境」などと謳っているものの、現実には「過度な業務負荷」や「上司からの適応障害を引き起こす可能性のあるハラスメント」など、適応障害を発症するリスクがある場合、これらを見抜く事が出来ます。
教育現場における内部事情についての情報は、転職の際の判断材料として非常に有用です。また口コミサイトの評価が高い教育現場を志望するという動機は、適応障害を持つ教員にとっては理想的な学校を求める合理的な理由となります。したがって、口コミサイトを活用して理想的な教育現場を探し、志望動機を明確化する事をお勧めします。
適応障害が教育現場での退職を防ぐ為のツールとなる方法
適応障害は一見、教育職において大きな障害と思えるかもしれません。しかしこの適応障害を教育現場で有利に活用する方法が存在します。
適応障害を理由に「細かな記録を取らせてください」という申し出をする事で、教育現場での誤解や通信の齟齬を防ぐ事が出来ます。教育において、口頭でのインストラクションやフィードバックは明確な記録が残らず、後で「言った、言わなかった」の議論に発展する事があります。
したがって、適応障害を理由に詳細な記録を取る事により、これらの問題を防ぐ事が出来ます。これは、学生や親、他の教員からの要求や期待が明確に記録され、後でその内容を確認する事が可能になる為です。
また記録を取る事により、学生の学習進度や課題の進行具合を詳細に把握し、必要な場合には迅速な対応を行う事が出来ます。これは教育の品質を向上させ、教員の仕事への満足度を高める結果をもたらす可能性があります。
このように、適応障害をデメリットと捉えるのではなく、教育現場でのコミュニケーションや管理を改善するツールとして利用する事で、退職を防ぐ事が可能です。
適応障害が教育におけるパフォーマンスを向上させる可能性がある事を理解し、そのメリットを活用する事により、教育現場での役割をより効果的に果たす事が出来ます。
適応障害で退職した教員の再就職成功への道
適応障害を理由に退職を余儀なくされた教員が、再就職に成功する為には、以下の点に配慮が必要です。
- 適応障害が原因で退職した事を前向きに捉え、改善の余地があったと自己PRする
- 教員として活躍したい学校を選ぶ際は、学校の評価や口コミを参考にする
- 適応障害を逆に強みと捉え、それを活かす戦略を考える
適応障害で退職した場合、失業保険の期間は長期化する事が推奨されます。
精神科医の指導により退職を決断した場合、適応障害の深刻さに応じて障がい者手帳の申請を行い、失業保険の期間を通常の3ヶ月から最大10ヶ月まで延長する事が可能です。また長期にわたり精神科医の治療を受けていた場合、障害年金を受給出来る可能性もあります。
適応障害が原因で退職した場合でも、日本には障がい者に対するさまざまな支援策がありますので、退職後の時間を活用して必要な手続きを進める事をお勧めします。
ただし、障がい者としての転職活動を行う場合、障がい者専用の転職サイトでは契約社員の求人が多く、正社員の求人が少ない事を認識しておく事が重要です。その為、正社員としての再就職を希望する場合は、直接学校や教育関連機関のウェブサイトから応募する事をお勧めします。
正社員採用は競争が激しい為、面接では自分がどのように成果を上げる事が出来るか、適応障害を逆手にとって教育活動を有利に進める方法など、障がいを持つ教員ならではの立ち回りを考える事が求められます。
ここで紹介したのは、実際に適応障害で退職し、再就職に成功した教員からのアドバイスです。これらの工夫を行う事で、適応障害で退職を余儀なくされた教員でも、再就職成功の確率が上がる事でしょう。皆様の再就職の成功を心から応援しています。